花粉症(かふんしょう、hay fever / pollen allergy / pollen disease, 医 pollinosis または pollenosis )

花粉症(かふんしょう、hay fever / pollen allergy / pollen disease, 医 pollinosis または pollenosis )





すでに説明したように都市よりも郊外のほうが患者が多い、または排ガスの影響は認められないという調査結果もあるが、一般市民の間で伝わる俗説はもちろん、マスコミなどの報道でも謎の残る「現代病」の側面を強調するためか、医学的・科学的なデータなどについてはあまり触れられない(ことに、マスコミは拡大造林や輸入等を推進する論調で世論をあおったため、現在に至っても自らを批判的に振り返ることができないとも揶揄されている)。すなわち、患者自身のみならず林業家を含めた国民が花粉症やその背景に関する正しい(と思われる)知識を持っていないこと、および知識を得る手段が限られる現状は、少なくとも林業行政にとっては好都合であるといわざるを得ない。

スギ花粉症が社会問題であるとの見方は、患者数や経済損失が多いなどの表面的なことばかりを考えるのではなく、これらのことすべてを考え合わせて認識せねばならない。なぜならば、国民が(少なくとも現時点でわかっている)本当のことを知らされていないことや、行政の動きがにぶい(国が国民を助けない)ことこそが、スギ花粉症が社会問題であることの本質だからである。これはいわゆる御用学者によって行政に都合のいいデータが出され、対策が遅れたある種の公害病や開発という名の環境破壊行為を髣髴とさせるものであるといって過言ではない。その意味では、たしかに現代社会のひずみが引き起こした「現代病」にほかならない。





補足

世界の花粉症
すでに述べたように、ヨーロッパではイネ科の植物、アメリカではブタクサが多い。日本のスギ花粉症を含めて、世界の3大花粉症ともいわれる。

ヨーロッパのうち、大陸では各種の樹木による花粉症も少なくはないが、花粉症発祥(発見)の地であるイギリスではことにイネ科の花粉症が多く、人口の15〜20%以上が発症しているという[要出典]。文献的にはスペインにも多い。一般に北欧と呼ばれるスカンジナビア地域ではシラカバなどのカバノキ科の花粉症が多いといわれ、10〜15%程度という数字がある。最近ではこうしたカバノキ科の花粉症をヨーロッパの花粉症の代表的なものとして述べることもある。地続きであるロシアでは極端に少ない。

アメリカ合衆国における有病率は5〜10%程度といわれる。ブタクサがほとんどともいわれるが、国土が広大なため、地域によってさまざまな種類の樹木・草本が問題になっているようである。北欧と同じく寒冷な地域であるカナダではカバノキ科の花粉症が多く、6人に1人という数字もある。

アジア太平洋地域では、文献的にはトルコやオーストラリアなどが40%以上という異常に高率の有病率を示しているが、この数字には疑問が残る。実際には10〜20%と推測される。

世界的にみて、先進工業国ではおおむねアレルギーが増えており、花粉症も全人口の1〜2割というところではないかとみられている。

いずれも、英語圏でなくとも、あるいは Hey(干し草)が原因ではなくとも、Hay fever の病名が慣用されることがある(そのため、花粉症の説明において、干し草が原因ではないとのことが述べられることもある)。さらに、アレルギー性鼻炎全般を Hay fever と代名詞的に総称することすらあるようであり、一般向けの病気についての解説等は、日本の感覚では疑問を持たざるを得ないことがある(もっとも、症状や治療方法はほぼ同じであるため、原因物質によって区別する必要もない)。

これらのうち、カバノキ科の花粉症が多い北欧やカナダでは口腔アレルギー症候群を示す患者も多く、カナダでは花粉症患者の半数程度[要出典]が経験するという。

こうした海外の花粉症については、プロスポーツ選手の海外進出などにともなって、ニュースとしてよく目にするようになってきている。

スギ花粉症については日本だけのものと考えられてきたが、中国の一部にある柳スギがきわめて近縁、または同一種と考えられ、実際この花粉による花粉症患者が確認されたり、日本のスギ花粉症患者も発症することがわかっている。さらに、フランスにおけるホソイトスギ(ヒノキ科)花粉症患者と日本人のスギ花粉症患者の実験により、両者に交差反応がみられた。すなわち、海外でヒノキ科花粉が飛散していれば、日本人のスギ花粉症患者も症状が出る可能性があることが示唆される。

なお、スギがないはずの欧米等において、スギも花粉症の原因になるといわれることがあるが、これは cedar をスギと訳したためである。ヒマラヤスギがマツ科であるように、cedar は実際には日本でいうヒノキあるいはマツの仲間の針葉樹である(例:ウエスタン・レッド・シダーはヒノキ科ネズコ属)。








海外旅行時の注意
国内であればマスクや薬が手に入りにくいということはないが、海外ではそうはいかないこともある。とくに欧米では日常的にマスクをする習慣がないため、奇異な目で見られるということもある。街角でポケットティッシュを配るなどのことも行われてはいない。

その反面、国によっては日本では処方薬となっている第二世代抗ヒスタミン薬が一般の薬店で買えるなどのこともある。しかし、それが自分の体質に合っているとも限らない。とくにヨーロッパでは、当地の伝統医療であるホメオパシーのレメディを勧められることもあるという。

これらのことにより、花粉症患者が事情がよくわからない海外へ訪れる場合は、シーズンを問わず、念のために自分に適した薬とマスク程度は持参したほうがよいといえる。一般に花粉症はきわめてまれと考えられている、いわゆる南洋の島などに観光旅行に行ったさいにも、原因不明の花粉症様の症状に苦しめられたとの情報もある(多量に栽培されているマンゴーやサトウキビなどによる可能性がある。これは国内でも、南方へ旅行した際に同様なことが起こる可能性がある)。

とくに病院で抗アレルギー薬の処方を受けている患者が、シーズン中に短期(1週間前後)の旅行を行う場合は、その効果を減弱させないためにも、旅行中も薬の服用を欠かさないほうがよい。やや長めの旅行であれば一時中断してもよいが、帰国時が花粉症シーズンであるならば、その数日前から予防的に薬を服用しておくとよい。これは初期治療と同じ原理である。





ペットの花粉症
近年ではペットの花粉症も問題となっている。イヌは98年に、ネコの花粉症は00年に報告されたというが、ヒトと同じく、それ以前からあったであろうことが推測される。とくにイヌにおいては、ヒトのような鼻症状より毛が抜けるなどの皮膚症状が多く見られ、見た目にも悲惨な状態となることが多いといわれる。

獣医師により検査や治療は可能だが、イヌにおいてはヒトと違って抗ヒスタミン薬が効きにくく、ステロイドに頼らざるを得ないことが多い。重症の場合は減感作治療が行われることがある。ネコにおいては検査も治療も困難であるといわれる。

近年はこうしたペット向けのサプリメント類も販売されるようになってきている。





花粉予測と情報
日本気象協会が日本初の一般向けスギ花粉情報を開始したのは1987年3月9日である。1985年より行われている東京都衛生局の予測等をもとに、東京都心と多摩地域向けに毎日の飛散予報を出すようになった。同年には京都市、仙台市なども住民サービスとして情報を出すようになっている。

シーズン(スギ花粉症の場合)の前年の晩秋にスギのつぼみのようすなどから飛散量の予測が出されている。そうした速報敵な予測と、気候(気象)の影響なども考慮した確定版の予測で、量や飛散開始時期などが多少異なることなどもある。

新聞、テレビ(天気予報など)、インターネット(携帯電話、電子メール含む)、テレホンサービスなどで、地域ごとの毎日の飛散予測が出されている。

しかしながら、こうした飛散量の予測(予報)などがなされると、「少ない」ときには患者の対策がおろそかになるなどの弊害もあることが指摘されている。





将来展望
文科省の第8回技術予測調査によれば、日本において重要な課題の第2位が「花粉症やアトピーなどのアレルギーを引き起こす免疫制御機構や環境要因の解明に基づく、即時型アレルギーの完全なコントロール技術」であり、これが実現する時期は2015年、さらに、それが社会的に適用されるのは2027年であると予測された。





参考文献
鼻アレルギー診療ガイドライン2002(鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会)
鼻アレルギー診療ガイドライン2005(鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会)
鼻アレルギー基礎と臨床(奥田稔)
花粉症の最新治療新編(斎藤洋三)
アレルギー疾患ガイドブック2004(東京都)
花粉症保健指導マニュアル(環境省)
花粉症対策と治療法(順天堂大学医学部)
専門のお医者さんが語るQ&A花粉症(大塚博邦)
ここまで進んだ花粉症治療法(佐橋紀男+花粉情報協会)
東京の環境2004(東京都環境局総務部企画調整課)
スギ花粉症(三好彰)
アレルギーなんかこわくない!(三宅健)
好きになる免疫学(多田富雄/萩原清文)
なぜ花粉症は激増するのか(北村美遵)
環境問題としてのアレルギー(伊藤幸治)
新版花粉症の科学(斎藤洋三/井手武/村山貢司)
すぐわかる森と木のデータブック2002(日本林業調査会)
その他




その他の「花粉症」
イギリスの劇作家ノエル・カワード( Noel Coward 1899〜1973)の戯曲に「Hay Fever」がある。日本では「花粉熱」と題されて2003年に上演されたことがある。
Sunflower's Gardanのアルバムに「ひまわり花粉症」(2004年発売)というものがある。
沢田亜矢子のシングルレコードに「花粉症」(1982年発売)というものがある。
インディーズソングライターの奥様レコードの曲に「花粉症」(1997年リリース)がある。
チャーリー浜のシングルCDに「私は涙の花粉症」がある。


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